シェットランド・シープドッグは、「シェルティ」という愛称で親しまれています。もともとはイギリス最北端のシェットランド諸島原産の牧羊犬で、ラフ・コリーやボーダー・コリーと同じく、スピッツやスパニエルが祖先と考えられています。
シェットランド・シープドッグは、19世紀後半、島を訪れたイギリス海軍の兵士が本土に持ち帰ったことがきっかけで、それ以来、「島のおみやげ」として人気を博しました。
イギリスのケネルクラブで犬種として認められたのは1909年のこと。当時は「シェットランド・コリー」と呼ばれていましたが、ラフ・コリーとの混同を避けるため、その後現在の名前になりました。
体高は33~41㎝、体重は 6.4〜12kgが一般的です。
日本で血統書を発行する機関であるジャパンケネルクラブ(JKC)では、体重の規定はありませんが、理想的な体高は、オスで37cm、メスで35.5cmとしており、体は筋肉質で鼻と尾が長く、耳の先端が前に折れているものが理想とされています。
毛色が似ていることから、ラフ・コリーを小型にした犬種と勘違いされることもありますが、血統書上では全く別の犬種として扱われています。ちなみに、ラフ・コリーは体高が50〜60cm程度と、シェットランド・シープドッグの倍近くあります。
シェットランド・シープドッグの被毛は、硬くまっすぐに長く伸びた上毛と寒さから身を守る密生した下毛のダブルコート。毛色は、セーブル(茶色)、トライカラー(白・黒・薄茶のタン)、ブルーマール(シルバーブルーの毛色に黒が散らばった毛色)、ブラック&ホワイト、ブラック&タンの5色が基本。多くの場合、首、胸、フリル、脚、尾先にホワイトの毛色が混じります。同じパターンの毛色でも、それぞれの色の割合やまだら模様の入り方によって見た目の印象は大きく異なります。
長毛種のダブルコートなので、こまめなブラッシングが大切。特に換毛期である春は抜け毛が増えるので丁寧なブラッシングを心掛けましょう。
トリミングは必要ありません。中には夏にサマーカットにする飼い主さんもいるようですが、まれに刈った部分の毛がなかなか生えてこない個体もいるので注意が必要。トリミングを行うなら、汚れやすいおなかやお尻、足の毛などの部分トリミングにとどめましょう。
平均的な寿命は12〜13歳です。先天的な病気を持っていなければ、比較的丈夫な犬種なので、平均的な寿命を超えて長生きする犬も少なくありません。
もともと牧羊犬だっただけあって、飼い主に忠実で状況を判断して行動する賢さがあります。ただし、警戒心が強く、飼い主さん以外にはあまりなつかず、見知らぬ人が近づくと吠える子も少なくありません。番犬にはぴったりですが、車やバイク、チャイムの音に反応して無駄吠えしたり、散歩中に他の犬に吠えたりすることも。子犬の頃のしつけが大切で、家族以外の人に協力してもらい、なでてもらったりおやつを与えてもらったりして、警戒心を解くような工夫をしながらしつけましょう。
知らない人には警戒心を持ちますが、家族は大好きで甘えん坊。長時間の留守番はストレスの原因となります。また、陽気で遊び好きな反面、繊細でガマン強い面も持ち合わせています。子供と同居している場合など、甘えたいのをガマンしてストレスをため込んでしまう子もいます。
ストレス発散の意味でも、朝晩30分程度の散歩を欠かさないようにしたいもの。もともと牧羊犬だったこともあり、走り回るのが大好き。ときにはドッグランで自由に走らせてあげてください。